123号

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漫画ナツ100 その5

 こちらの記事の続き。
 そして、またこちらの記事の続きでもある。
 リストアップされているマンガの内容については、予告なくネタばれする可能性があります。

 ぼやぼやしているうちに、夏が終わってしまいました。
 が、漫画ナツの続きです。
 今回は、「キーワードは『夏』」の後半。
 前回の夏キーワードは「戦争」でした。
 残りは、「高校野球」、「恐怖」、そして「海」の3つです。
 最後の「海」は、「人魚」と言いかえるべきかもしれません。
 それにしても、カギカッコが多くて目がチカチカします。
 うしろゆびさされ組の歌が始まりそうです。 

(2)キーワードは「高校野球」

『甲子園の空に笑え!』川原泉
甲子園の空に笑え! (白泉社文庫)甲子園の空に笑え! (白泉社文庫)
(1995/03)
川原 泉

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『天使とダイヤモンド』那州雪絵
天使とダイヤモンド (白泉社文庫)

 いずれも少女マンガ誌である「花とゆめ」に連載された高校野球マンガ。
 ただ、連載の時期はかなり違って、『甲子園の空に笑え!』が昭和59年、『天使とダイヤモンド』が平成5年です。
 前者は後になってコミックスで読みましたが、後者は本誌で連載を追いました。
 『天使とダイヤモンド』が連載されていたのと同時期に、川原先生が、「花ゆめ」で連載していたのが、『甲子園の空に笑え!』の後日談でもある『メイプル戦記』です。
 『メイプル戦記』は、女の子(心が女の子の者も含む)だけのプロ野球チーム、スイートメイプルスの物語。
 メイプルスの監督は、『甲子園の空に笑え!』の主人公、広岡真理子監督です。
 この時期の「花ゆめ」には、『天使とダイヤモンド』と『メイプル戦記』、高校野球マンガとプロ野球マンガと野球マンガの連載が2つあったことを考えると、実におもしろい雑誌だったんだな、と思います。

 『甲子園の空に笑え!』と『天使とダイヤモンド』は、2作とも、お世辞にも強豪とは言えない高校の野球部が、甲子園を目指す物語です。
 『天使とダイヤモンド』に至っては、野球部を創るところから話が始まります。
 そして、奇しくも2作とも監督が主人公(『天使とダイヤモンド』の主人公は開なのかな?でも、実質的には圭ちゃんが主人公だと思う)。

 『甲子園の空に笑え!』の豆の木高校は広岡監督は、生物の新任教師で女性で、何となく頼まれて野球部の監督に就任したものの、初めはもちろん興味が持てず、しかし、ふとしたことからナインの尊敬を集め、尊敬されてしまった以上ボロは出したくないと、野球理論の本など読んで研究しているうちに、もともとが理系の教師だけあって研究にハマり野球にハマり、ついでに広岡監督の指導方針が、豆の木高校野球部のよいこ達にもハマって、とうとう、万年1回戦敗退、出ると負けの豆の木高校野球部を、夢舞台・甲子園へと導くのでした…。
 そして、甲子園では、赤い旗赤い旗と共産党のように叫ぶ北斗高校(昨年度優勝校)の高柳監督と親睦など深めつつ、勝ち進んだりする。

 対する、『天使とダイヤモンド』の三園高校の圭ちゃんこと加野圭吾先生は、古典の先生でこちらも新任で、高校時代は、野球部所属で、投手としてチームを甲子園に導いた(そしてボロ負けした)元・都立の星です。
 野球はもうやらない、と心に決めていたのが、同じ高校の生徒である従弟の開、七美におどされるようにして(実際おどされて)、野球部の監督に就任。
 部員集めとか台所事情とか練習試合の相手とかに頭を悩ませつつ…というか、そうした現実の問題よりも、一度捨てた野球と再び関わることについて、自分の中で気持ちの折り合いがつかず、むしろ、そのことに頭を悩ませつつ、チームを率いて予選にのぞみます。

 2作品とも、さすが少女マンガと言うべきか、やはり少女マンガというべきか、魔球が…とかバッティングフォームが…という話はほとんど出てきません。
 あくまで川原マンガだし、あくまで那州マンガ。

 『甲子園の空に笑え!』は、その内容のほとんどがギャグ…というか何だろう?やっぱり川原マンガで、広岡監督が、必ずや二連覇を成し遂げて真紅の優勝旗とともに箱根の峠をこえよう!と自チームの選手たちに言う高柳監督を評して、先ほども書きましたが、「赤い旗 赤い旗って 共産党じゃあるまいし…」というように、何と言うか大変に批評的。
 全編、最後のシリアスも含めて、現実の高校野球へのツッコミと言っていいかもしれません。

 『天使とダイヤモンド』は、那州先生のマンガらしく、やっぱり青春。
 悩み多き青春。
 私が特に好きなのは、第4回。
 チームの皆が初めてユニフォームを着て練習をする話で、この段階ではピッチャーがいないので、圭ちゃんがピッチャーになって、開と投球練習をします。
 もう野球はやめたから、とマウンドに立つことを拒否した圭ちゃんと、その圭ちゃんを挑発したりおどしたりしてマウンドに立たせる開。
 投球は5年ぶりの圭ちゃんの投げるボールは、初め、開のかまえるミットに収まらず、しかし、徐々に体がピッチングを思い出していきます。
 高校時代の野球部のチームメイトや監督のことを思い出しながら、圭ちゃんの独白する、
「俺は何を忘れようとしていたんだ」
 子供の頃、体が弱く、圭ちゃんがボロ負けするのもテレビで見ているしかなかった開の、
「俺が圭ちゃんをもう一度あそこに連れていこう そしてあの場所の持つ意味を俺がかえてあげる」
という真意にグッときます。
 ちなみに、圭ちゃんが甲子園で負けたことに関する開の真意については、最終回で、真意の更に真意のようなものが明かされて、これもグッときます。

 また、『甲子園の空に笑え!』も『天使とダイヤモンド』も、主人公は学校の先生ですが、主人公以外にも、いい先生だなあ…としみじみ呟きたくなるような先生が登場します。
 先生好きとしては嬉しいかぎり。
 『甲子園の空に笑え!』なら、広岡先生に野球部の監督を頼んだ教頭先生。
 上品なヒゲとメガネで、いつでも優しく広岡監督と野球部の皆を見守っています。
 広岡監督の指導方針=地道な基礎練習を聞いて、
「基本に忠実 私もそれが一番だと思いますですよ」
と頷く。
 『天使とダイヤモンド』なら、圭ちゃんの高校の野球部の監督。
 いつも泰然自若としていた高校時代の圭ちゃんを、自分は大物だと勘違いしていた、と言い、甲子園でボロ負けした、
「あの時まで順風しか知らずに来てしまったことはお前という人間の希有な不幸だ」
と言う。
 そうした認識、言われた方も、確かにそうだ、と頭を垂れるしかないような認識の上にあるからこそ、お前はこれからだ、がんばれ、という何でもない励ましの言葉が、きちんと圭ちゃんにしみるんだと思います。

 ああ、また長くなってしまった…。
 ので、(3)(4)は次回に。
 いつになったら終わるのか、ゴールはまだまだ見えません。

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