123号

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ごくごく個人的な『平清盛』総括の試み

『平清盛』が、もうじき最終回です。
一年間、本当に楽しませてもらいました。
この辺りで一つ、私の目には、『清盛』がこういう話に見えるよ、というまとめ。
勢いで書いたので、諸々間違いがあったらすみません。
呪いとか救済とか、きな臭い単語がたくさん出てきます。
気持ち悪いよ。
これだけ書いて、要は、清盛と頼朝って擬似親子だよね!頼朝ルートって正義だよね!と主張したいだけだったような気がしてきました。
それも気持ち悪いよ。

長いのでたたみます。

私の目には、『清盛』がこういう話に見えるよ、というまとめ。
なるべく作中の時系列に沿って、モリモリ書きます。


Ⅰ 白河院の呪い

 『平清盛』で、平清盛は、白河院と白拍子・舞子の子の間にできた子と設定されています。
 清盛は、陰陽師の予言により、実父・白河院から、産まれる前に殺されかけます。
 産まれてからも殺されかけます。
 結果的に、清盛ではなく、実母の舞子が殺されます。
 陰陽師の予言は、清盛が、王家に禍をなす子である(+璋子の病の原因)というものでした。
 この予言と、それによって取られた白河院の行動により、清盛は、生まれながらにある呪いをかけられます。
 それは、平たく言えば、お前なんか生まれてこなければ良かった、と。
 そういう呪いでした。
 白河院は、清盛の実父であると同時に、治天の君です。
 白河院の呪いは、清盛にとって、同時に、白河院を頂点とする貴族の社会からの拒否でした。

Ⅱ 忠盛の夢

 実の親の属する社会より、生まれながらに拒否された清盛は、平忠盛に引き取られます。
 まだ、出自を知らない頃の清盛は幸せでした。
 海賊と戦う強い父に憧れ、自分もいつかああなりたいと真っ直ぐに思っていれば良かった。
 しかし、そうした幸せは、やがて破られます。
 そして、弟の家盛が庭の木から落ちたとき、育ての母・宗子が見せた態度。
 忠盛に父を殺された海賊の子・兎丸との出会により。
 清盛の放浪が始まります。
 自分は誰なのか。
 いずれも中途半端で失敗に終わった民や海賊への接近も、そうした放浪の中でのことでした。
 どこでどう生きるべきなのか。
 答えをくれたのは、育ての父・忠盛でした。
 忠盛は、清盛の育ての父であると同時に、平氏の棟梁です。
 忠盛には、夢がありました。
 貴族に代わり、武士が頂に立つ世をつくる。
 清盛の前に、武士として生きていく可能性が開かれます。

kiyo1.png


Ⅲ 試練

 平忠盛=平氏の棟梁の息子として生きていくことを決めた清盛を、いくつかの試練が襲います。
 問題にされるのは、しかし、清盛の能力ではなく、清盛の血でした。
 清盛が、何か平氏にとって良くないことをする。
 すると、その原因は、最終的に、清盛が平氏ではなく、白河院の血を引いていることに求められる。
 試練の場は家の外ではなく、内でした。
 家盛、宗子、そして忠正。
 最大の試練は、保元の乱の後、「叔父を斬る」です。
 清盛は、平氏のために叔父・忠正を斬りました。

Ⅳ 資格の問題

 試練の季節を過ぎ、清盛は名実ともに平氏の棟梁となりました。
 平氏の棟梁になることは、忠盛の夢を継ぐ、とイコールです。
 忠盛の夢は、貴族に代わり、武士が頂に立つ世をつくること。
 武士の夢、と言い換えてもいいかもしれません。
 清盛は、武士の夢を継ぎ、しかし、それに伴い、一つの問題が浮上してきます。
 清盛に、武士の夢を継ぐ資格はあるのか、という問題です。
 この問題は、大きく動機の問題と正統性の問題に分けられます。
 動機の問題とは、つまり、清盛の動機は復讐ではないのか、という問題です。
 忠盛の提示した武士の夢に、清盛が飛びついた=平氏の棟梁となり、武士として生きることを選んだ動機。
 それは、忠盛の提示した夢の前半部分にのみ傾いた、自分を拒否した貴族の社会を壊す=復讐ではないのか。
 正統性の問題とは、Ⅲと同じく血統の問題。
 第一話で、忠盛とその父・正盛は、武士の勤めとして人を殺し、そのことを、護られている当の貴族に蔑まれます。
 忠盛や、その当時の武士が置かれた状況を、端的に表すシーンです。
 ゆえに、忠盛が、上に書いた夢をもつ理由は、よく分かります。
 しかし、清盛はどうか。
 忠盛、正盛、正盛の父、更にその父……と遡る平氏の歴史に、清盛は連なる資格があるか。
 平氏の歴史、平氏の物語、ファミリーヒストリー……言葉は何でもかまいません。
 清盛には、それを背負う資格があるか。
 Ⅲと同じく、ここでは清盛の血が問題とされ、しかし、Ⅲとは違い、これを問題とするのは、今度は自分。
 資格がないのでは、と考えるのは、清盛自身です。
 更に言えば、動機の問題についても、主として清盛を責めるのは、やはり清盛。
 動機の問題と正統性の問題は、互いに原因結果となり合いながら、ある種の後ろめたさを清盛の中に生じさせます。
 正統性を欠いた自分が、復讐という動機のために、武士の夢を利用しているのではないか、という種類の後ろめたさです。
 後に、西光や伊藤忠清が清盛を激怒させたのも、要はこの後ろめたさを(忠清は図らずもですが)突いてしまったためと思われます。

Ⅴ 限界

 上で書いた正統性の問題について。
 そういえば、忠盛は、清盛を棟梁と定めながら、平氏の歴史については清盛に伝えた形跡があまりありません。
 なぜか。
 もしかすると、忠盛は、清盛に自分とは違う方法で、新しい世の中をつくることを期待したのかもしれません。
 自分の血を引かない清盛だからこそ、自分の方法ではぶつかる壁、限界もこえられる。
 結果はどうだったでしょうか。
 清盛は、平家の武力と財力を背景に、既存の社会の中で成り上がる、という方法を選びました。
 既存の社会=貴族の社会です。
 清盛の取った方法は、忠盛のそれと大きく変わりません。
 忠盛の期待は、(もしそう期待していたとすれば)裏切られました。
 しかし、忠盛の方法=平氏の方法と考えれば、これは逆に、清盛がまぎれもなく平氏=武士だということを示しています。
 ただし、清盛自身は、そのことに気づきません。
 そのこと、つまり、清盛の限界=平氏の限界であり、そうであるならば、清盛は平氏=武士以外の何ものでもない、ということです。
 清盛の限界=平氏の限界。
 既存の社会の中で成り上がる、という方法を取る限り、いずれは既存の社会の取り込まれてしまう。
 たとえ、武士の娘の産んだ子を帝の位につけても、イコール武士が頂に立つ世が来た、とは言えない。
 なぜなら、その時点で、成り上がった武士は、もはや武士とは言えない存在になってしまっているからである。
 武士の夢を叶えるため、取られるべきは別の方法です。
 では、どんな方法を取ればいいのか。
 課題は次の世代に持ちこされます。

Ⅵ 次世代

 貴族に代わり、武士が頂に立つ世をつくる。
 武士の夢は、清盛の次の世代が叶えるべきもの、ということが確認されました。
 では、具体的には誰が叶えるべきでしょうか。
 正確に言うと、誰が叶えることになれば、清盛は納得するのでしょうか。
 ここでⅣで書いた問題が、再び登場します。
 特に正統性の問題です。
 清盛の次の世代、ということで一番に想起されるのは、重盛を始めとする清盛の子供たちです。
 しかし、清盛は、武士の夢を叶える者として、自分の子供たちでは納得できません。
 清盛の子供たちは、清盛の子供であるがゆえに、清盛と同じく武士の世をつくる資格を欠く者です。
 能力の問題では、たぶんありません。
 自分の子は、自分の子であるがゆえにノー。
 重盛も宗盛もノーです。
 清盛の子供たちは、官位の上昇とともに、随分あっさり貴族化した=武士を止めてしまったように見えます。
 清盛のそうしたノーの内心が、影を落としていたように思えて仕方がありません。
 自分の子供には、武士の世をつくる資格がない。
 では、誰にならあるのか。
 ここで浮上するのが、平氏と並ぶ武門の源氏。
 清盛の次の世代に当たる源氏の御曹司・源頼朝です。
 頼朝は、言うまでもなく源義朝の子。
 『清盛』の義朝は、清盛にとって、強敵と書いて「とも」と読むような存在でした。
 清盛は、義朝のことをよく知っていました。
 義朝の来し方行く末。
 義朝が、何を背負ってどう生き、どう死んでいったか、清盛は知っていました。
 義朝がその背に負っていたのは、八幡太郎義家の昔を誇る源氏の歴史と、父殺しの罪でした。
 清盛は、それを知っていました。
 そして、自らが渡した髭切の太刀とともに、それが、今は頼朝に背負われていることも知っていました。
 ……頼朝については、期待していた、と言うべきかもしれません。
 古今を直立する一本の棒と考えたとき、自分の次に来るべきは頼朝。
 清盛は、そう思い定めました。
 どこで思い定めたか、と言えば、第46回「頼朝挙兵」のラスト。
 暗闇の中でもがく清盛が、頼朝の挙兵を聞いて力を取り戻す、その辺りだと思います。

kiyo2.png


Ⅶ 白河院の呪い・再び

 頼朝の挙兵を聞く直前、清盛は暗闇の中でもがいていました。
 平家は未だ栄華の中にあります。
 しかし、清盛は暗闇の中でもがいていました。
 直接的な原因、というか最後の一押しは、おそらく息子・重盛の死に際の言葉でしょう。
 早く死にたい、というのは、清盛にとって、あまりに痛い言葉でした。
 お前なんか生まれてこなければ良かった、という呪いの解けない清盛です。
 清盛の中で、何かがぷつんと切れました。
 切れた清盛は何になるのか。
 白河院になります。
 白河院は、おそらく、清盛にとって世界で一番おそろしい存在です。
 その白河院に、清盛はなります。
 白河院は何をするのか。
 まず、悪政を敷きます。
 具体的には遷都です。
 遷都が悪かと言われると少し困りますが、少なくとも『清盛』の中ではそうです。
 他に、白河院は何をするのか。
 白河院は、女を殺します。
 ただの女ではありません。
 白河院が殺すのは、清盛の愛する女です。
 過去の被害者は二人。
 清盛の実母・舞子と、最初の妻・明子です。
 白河院の政により宋の薬が手に入らず、病で死んだ明子は、間接的には、清盛にとっては白河院に殺されたも同然です。
 今や白河院と化した清盛の前に、一人の女が現れました。
 白拍子の仏御前です。
 清盛は、仏御前に一目惚れします。
 しかし、今の清盛は、同時に白河院でもあります。
 白河院は、清盛の愛する女を殺します。
 清盛は、仏御前を母・舞子と同様に射殺そうとします。
 清盛の狂気は、盛国が止めて、未遂に終わりました。
 直後に、頼朝挙兵の知らせが届きます。

Ⅷ 横の救済

 ところで、清盛は孤独でしょうか。
 主観的には、ずっと孤独です。
 Ⅶで書いた白河院と化していた時分など、清盛は、孤独きわまった心持だったでしょう。
 客観的にはどうでしょうか。
 孤独とは、今辞書を引いてみたところ、「仲間のないこと。ひとりぼっち」を指すそうです。
 清盛は孤独でしょうか。
 客観的には、どうもそうとは言えません。
 まず、清盛には盛国がいます。
 とても頼りになる、腹心です。
 頼りになりすぎて、時々ちょっと恐い腹心です。
 また、時子もいます。
 とてもかわいい、清盛の正妻です。
 二人には、共通点があります。
 それは、清盛が何であろうと、どんな状況に陥ろうと清盛についていく、という点です。
 盛国は、修羅の国でもついていく、時子は、どれだけ落ちぶれようと、あなた様こそわが光る君、と。
 また、二人は、まだドラマの中では描かれていませんが、清盛に殉じたとしか言いようのない激しい最期も共通しています。
 時子が、明子や仏御前といった女性たちに、あまり嫉妬する様子を見せないのは、だからだろうと思います。
 つまり、時子が「できた妻」だからではなく、キャラの立ち位置が違うから。
 しかし、清盛は、そんな二人がそばにいて、なお孤独を感じています。
 清盛が嫌いだから『清盛』が嫌いだという人は、たぶん、こういう部分に反発を覚えるんだろうと思います。
 忠誠度MAXで絶対に裏切らない超有能な部下とか、某『三国志』のゲームで呂布など召し抱える主上の皆様におかれましては、ほぼ夢の存在。
 好感度MAXの嫁(深キョン)は言わずもがな。
 甘えてんじゃねえ、と言われても仕方ないな、と思います。
 しかし、清盛がひとり暗闇に在るのは事実です。
 主観的には事実です。
 下の図でいうと、盛国や時子は、清盛にとって、横の関係に置かれます。
 清盛は、横の関係では救われません。
 清盛の呪いは、下の図の縦の関係。
 世代をまたぐ、白河院との関係でかけられたものです。
 呪いをかけたのが縦の関係ならば、呪いを解くのもまた、縦の関係でなければ。
 また、ついでに、第47話「宿命の敗北」で、伊藤忠清は、清盛を、もはや武士ではないと言いました。
 もはや武士ではない、逆に言えば、以前は武士だった。
 忠清の目から見て、おそらく周囲から見て、清盛は武士以外の何ものでもなかった。
 清盛を疑っているのは、清盛自身のみです。
 作用しているのは、ここでも白河院の呪い。
 清盛の救済に必要なのは、横ではなく、縦の力です。

kiyo3.png


Ⅸ 縦の救済

 清盛にかけられた白河院の呪いとは何だったのか。
 Ⅰに戻って確認します。
 清盛が生まれる前になされた予言は、清盛が、王家に禍をなす子であり、かつ璋子の病の原因であるというものでした。
 白河院の呪いとは、この予言の内容そのものではありません。
 予言の内容、プラス、それによって取られた白河院の行動、その結果。
 清盛がかけられた呪いは、それら全てから発せられたメッセージ。
 つまり、お前なんか生まれてこなければ良かった。
 この呪いを解くこと=清盛の救済が可能なのは誰か。
 清盛自身にはできない、ということを前提にして、それが可能なのは、二人しかいません。
 清盛と、世代をまたいで縦の関係で結ばれる者。
 一人は、呪いをかけた張本人・白河院。
 そして、もう一人が、源頼朝です。
 白河院による救済は不可能です。
 あの人は既に死んでいる。
 残るは頼朝一人。
 頼朝は、何をすればいいのか。
 頼朝がすべきは、二つのことです。
 一つは、清盛とは違う、正統性を欠かない者として、武士の世をつくること。
 もう一つは、その口でもって、清盛を祝福することです。
 頼朝が、清盛は生まれてこなければ良かった、と逆のことを言う。
 それしかないな、と最終回を間近にして思います。
 清盛が生まれてきて良かった、言い換えれば、清盛には生まれた意味があった。
 『清盛』のナレーションに頼朝が配されたことを、伏線と感じつつ、しかし、第一話を見返してみれば。
 第一話「ふたりの父」の冒頭。
 実父・義朝の菩提をとむらうために寺を建立する、頼朝のもとに届いた平家滅亡の知らせ。
 口ぐちに平家を罵り、喜ぶ周囲に対し、頼朝が思わず口にした言葉。
 なるほど、救済は予告されていたのだ、などと。

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